(47)もう一つの捜査始まる。

ゾッド社長が殺害されてから1日がたった。TVはあいかわらず中継車をだしてリポーターが殺害現場の事務所から遠く離れたところから状況の説明をしていた。ゲンゴローは新聞記者の身分証とオーデションの取材許可証を警察にだして早々に開放してもらい記事をまとめることに集中した。そして殺害があったよく日に詳細記事を載せることができた。CATタイムス紙の見出しは ”ゾッド社長殺害される” 副題は”警察は有力容疑者を特定か?”であった。

もっぱら報道は殺人事件が中心であったが、警察ではもうひとつの捜査がはじまろうとしていた。

いままで捜査状況から、捜査主任の警部らは、”金庫が開かれていて、金庫の内部の左側の一段目に株などの債券などがそのまま置かれていたので、おそらく右側に現金や帳簿などがあったのだろう”と見当をつけてみた。が、その確信はないままであった。”強盗殺人なのか?怨恨なのか?”

鍵がただひとつポツンと残されていた。犯人は、あるいは犯人らにとってこの鍵は最初から眼中になかったのかもしれない。役員らが事情調査に応じ、金庫はゾッド社長の私物で、何が入っていたかはまったくわからないと話していた。金庫には指紋も残されておらず、凶器の細い紐状のものも持ち去られていた。その日のしかも、オーデションが始まってから防犯カメラの線が切られていたことがわかった。それで、社長室やそれに通じる通路や事務所内の出入りはまったくわからずじまいで、また目撃者もだれひとりいない時間帯を選んだことから、殺害が用意周到であったことが裏付けされた。

この”鍵”は銀行の貸金庫のものとわかった。そして貸金庫からただひとつ小さなICチップをみつけ押収した。

「なんだこれは!」分析官の捜査員がすっとんきょうな声を出した。「警部!こっちへ来てくださいよ!早く早く!こりゃえらいものが記録されてますよ!」。興奮した様子だ。捜査主任の警部や仲間たちが足早に近づき、分析官がみてる画面を見て、「こ、これは。。。。」「。。。。。。。」。だれかが、「おいらの名前載ってませんかね~?」と冗談をはいた。捜査主任が、”キッ”と睨め付け、大声で「馬鹿野郎!捜査外すぞ!」。軽口を吐いた捜査員はバツがわるそうに引き下がって、先輩捜査員から「あのな~。。。」と肩に手をかけられたしなめられた。事態は深刻なのだ。興味本位に集まってきた捜査員にも緊張が走った。しばらくして分析官が、「主任、これこれ!」と画面をたたき、”ある人”の名前を指した。警部はしばらく考え、”二ィ~ッ”と笑い、「いいか!それよりも、まずリスト内に警察関係がいないかをまず確かめよ!敵は内(うち)にあり かもしれんからな。。。」と苦虫(にがむし)を噛み下したように吐き出した。分析官だけがすぐさま「ラジャ~」と返事した。捜査員らは黙ってうなずいた。警部はさらにつづけ、「スキャンダルもみ消しの圧力がかるかもしれんな~。。が。こっちのリストの捜査は”しばらくの間”はまったくの覆面でいくぞ!徹底的に調べよ。そして日記との整合性を調べよ。ゾッド社長殺害の動機となりうるものがあるかもしれん。。からな。それができたら、ま、上に話して、殺害事件とは別の捜査を2課に立ち上げてもらうようにする。

ICチップには便宜をはかってもらうための資金提供(うらがね)のリストがあった。そしてそれらの資金提供に関連する日記も、こと細かに記載されていた。費用対効果を分析するつもりなのか?ビジネスとしての裏金として割り切っていたようだ。しかしアウトロー(違法)のビジネスだ。ゾッド自身の身の安全を図ったに違いないと容易に想像できた。

そうとは知らず、太郎と二―二とチロと2匹の隊員らは、やしろホテルの一室で持ちかえったアルミケースを開け、そして大金を目にしていた。

太郎は「あら やだ!すごいわね。。」 二―二は興味なさそうで、すぐにホテルのフロントにいった。受付のお手伝いだ。チロも大輔もチビクロも、「まいったな~」と頭をかくしまつだ。

ヒョウ柄らの”影始末”は失踪の現場を押さえ、子猫らの救出作戦のとき、成り行きでそうなった。事務所からキャリー付きの大きなアルミケースを持ち出した黒装束らを見つけたのは二―二だ。ヒョウ柄らはすぐに目撃者を抹殺すべく二―二を襲ったが相手が悪かった。悪すぎた。そしてアルミケース2個だけが残った。

チロは「どうします?届けますかね?」と。太郎は、”ニコッ”と笑って、「だ~め」。これには隊員もあんぐりとした。予想もしない答えであったのだ。太郎は 「まずこのお金の性質を知ったうえでどうするか決めましょ?影軍団が成り行きの戦利品なんちゃって、言えるはずもないし。。。。額が大きすぎるから、あとで匿名で届けるにしてもどうしても無理があるわ。警察はとことん調べると思うの。」隊員らは「そうですね。太郎さん」「うんうん」「うんうん」。

大輔が、「ヒョウ柄の持ち物?ありえないな~。おそらくゾッド金庫から盗み出した?ものかも。」 隊長のチロから、「おおやけにできないお金かもね?」 チビクロは「えッ?」と。太郎は「そうね。それもあるわ。ほら いつかあったでしょう? 麻薬取引で猫ババしたやくざのチンピラが、それがばれそうになって、命ほしさに、猫ババした現金を”ゴミ回収”に出してしまう”って話、一度二度ではないでしょう?結構あるのよ!、お金より大事なものが、、、、。」。チビクロはそれでも納得したのかしないのか、「へ~」とあいまいな返事をした。

太郎は「ホテルのどこかの一室にしばらく置いときましょうか。お金の性質がわかってから対応きめましょう!」そして「なによりも、守るべきは影の存在を知られてはいけない。そのことよ!。」と宣言した。

以後、子猫らの失踪事件はあらたな段階を迎えることになる。 次回。

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